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今津成立以前の港町・木津(こうつ)

今津は近世になって歴史の舞台に現れるようになり、それ以前は、すぐ南の「木津(こうつ)」が湖西の拠点としての港でした。「近江・若狭と湖の道(藤井讓治 2003)」によると、11世紀後半に若狭の気山津から、また12世紀後半には小浜から木津に官物が運ばれるようになり、栄えていました。

湖西の津の多くは琵琶湖から仕切られた内湖のすぐ側にあり、その中に船を入れて安全な港として機能していました。ところが木津に隣接するような内湖は今はありません。

木津のすぐ南にある、高島市新旭水鳥観察センターの前は窪んだ湾になっていてます。沖には湾を塞ぐように浅いところがあり、水位の低い時は姿を見せて、コハクチョウ等の水鳥が休んでいたりします。私は、地元の方からは「トノサマミチ(殿様道)」というのがあったんだと聞かされました。ここは、かつては内湖だったのです。

しかし、15世紀初頭に琵琶湖の水位上昇により湖岸が沈降し、内湖でなくなってしまいました(水野 2004)。すぐ北に小さな内湖が連続してあった今津の方が港として条件が良くなり、今津が栄えていったものと考えられています。

そして信長・秀吉の全国統一の中で、若狭からの荷は今津が取り扱う独占権が認められて、今津の繁栄につながったのです。

*水野章二編著『中世村落の景観と環境 山門領近江国木津荘』、思文閣出版、2004